
SMAの新生児マススクリーニング実装研究について、最後にお話しします。
私たちは、新生児マススクリーニングにSMAを入れることを、実装研究と名付けています。
その流れは図のようになります。
まず、県内産科施設において、妊婦で希望者にインフォームド・コンセントを実施し、参加したいという方には全例検査を行います。一応、千葉県内すべの産科施設にお声がけをして説明しています。
その際、今のスクリーニングで使っているろ紙血を使うことが重要で、その許可を千葉県・千葉市をいただくことを最初に行いました。
公益財団法人 ちば県民保健予防財団では、既存のスクリーニングで、ろ紙の発送、血液ろ紙の受け取り、データ管理、結果管理まで検査部で行っています。
その為、千葉県全体の産科施設から毎日、血液ろ紙が送られてきています。
2019年12月に遠藤先生からお話しがあってから、急ピッチで体制を立ち上げています。現在、県内産科施設でご説明した妊婦の70%から同意が得られているところです。
検査ですが一からやるのはハードルが高いため、難病の解析や遺伝子研究や開発を行っている公益財団法人 かずさDNA研究所でSMA検査をお願いしているところです。
ろ紙を一部パンチアウトして、96穴マイクロプレートに入れて毎日かずさDNA研究所に送付しています。
その結果は数日で解析され結果が返却され、産科施設に1ヵ月以内に結果を報告するという流れです。
陽性が出た場合、産科に連絡し、陽性児の両親に連絡し、直ちに千葉県こども病院の村山 圭先生を受診してもらいます。
千葉県こども病院では、遺伝診療センターでの遺伝カウンセリングおよびSMAの確定診断、確定後の神経科による早期治療の一連のシステムは確立しています。
現在、従来の方法で発見された1歳半と三か月齢のSMAの患者さんに対しゾルゲンスマの治療を開始するところで、これにより新生児マススクリーニングによる早期診断、複数の早期治療体制がスタートすることになります。